愛玩条約

先生は私を「可哀想で可愛い、痛々しくって愛おしい」と言った

ポツリと

清水寺の近くで夫婦湯呑を見ていた時の会話を思い出しては傷ついている。

 

「僕はいい夫婦湯呑買って、今一緒にいる女とお茶飲みまくってるけどね まろんは必要ないでしょ、今一緒にいる男、お茶を飲む文化なさそうW」

「前、家に来た時お茶を入れようとしたら『めんどくさくなっちゃった』って言われて外までお茶を買いに行かれたことあるんだよね……」

「え、ネタでからかったつもりだったんだけど…」

「夫婦湯呑、実は買ってるんだけど、食器棚から出すことなさそうだな……」

「ねえさすがに可哀想すぎる なんでそんな男と一緒になるくらい君は落ちぶれてしまったの?」

 

私は、落ちぶれたのかな……。歳をとって価値が目減りしているのは自覚しているけど……。

 

今の恋人と付き合ってから、元彼二人と、親友が心配してくれているようで、別れてもなお相手に心配をかけてしまっていることが情けなく、悲しい。

 

「今の恋人もいい所あるんだよ、優しいし」

「は?俺の方が優しいだろ」

「綺麗な顔してるし……」

「はァ〜!?もうお前マネキンと付き合えば?」

 

でも確かに、今まで相手の顔気にしたことなかったな。みんな当たり前に綺麗な顔をしていたから。